泣いて笑って①

泣いて笑って(子育て奮闘記)


現在、マレーシアのインターナショナルスクールに通っている息子。

息子は3歳の頃に軽度自閉症スペクトラム(ASD)と診断された。
これまでの成長と思い出、当時の悩みや葛藤をゆっくりと振り返っていこうと思う。

妊娠初期から切迫流産、中期以降で切迫早産からのマクドナルド手術(子宮頚管を縛る手術)、そして入院と思い描いていた穏やかな妊娠生活とはいかなかった。
そして出産予定日より1ヶ月以上早く緊急帝王切開で息子は誕生した。

緊急帝王切開になってしまったため元々希望していたTosuの立ち合いは叶わず、心細さも不安もあったが、それ以上にゆっくりお腹で育ててあげれなかったことに申し訳なさでいっぱいの中での出産を迎えた。

そんな弱気な気持ちを抱えたままではあったが、あっという間に手術室に入り麻酔をされ異様な眠たさと意識がぼんやりとしている中ではっきりと聞こえた我が子の産声。

とにかく産声をだせるほど元気に生まれてきてくれたことに涙が溢れ、一瞬ではあるが顔を見せてもらえた時、
”絶対大事に育てるからね“
と強く心に誓ったのは今でも鮮明に覚えている。

緊急帝王切開だったためで通常より少し長めに1週間ほど病院でお世話になった。

生まれた時の息子の体重は2000gほどだったため、息子はNICUで24時間体制でサポートしていただく必要があったのだ。
私が退院を迎えるまでの1週間の期間では母子同室は叶わず、基本的に息子がいるNICUへお世話しに行っていた。

NICUは特別な場所で四六時中いつでも会いに行ってお世話できる訳ではなかったが、息子の様態が安定しているときは、昼間でも夜間でもNICUのスタッフさんが入院室まで来てくれて私やTosuが少しでも息子と過ごせるよう時間を設けてくれた。
Tosuの両親も遥々会いにやって来てくれかけてたのだが、NICUは赤ちゃんの両親しか入ることが出来なかったのだ。
それでも窓越しに見える息子に「可愛いなぁ」と笑顔で声をかけてる二人の姿にとても温かな気持ちになった。

そんな日々を送っている中であっという間に私の1週間ほどの入院生活は終わりを迎えた。

しかし息子と一緒に家に帰ることはできなかった。

黄疸が出たり、体重が2000gを切ってしまったりと引き続きNICUで24時間体制でお世話になる必要があったのだ。

その状態の息子を家へ連れて帰るにはまだまだ危ないということはもちろん理解していたが、いざ1人で病院を後にするときは涙が溢れて仕方なかったあの時の気持ちは今でもハッキリと覚えている。

我が子を置いて退院することの罪悪感と寂しさで心はどんよりしていた。
そんな私にNICUのスタッフの方は、「退院したらゆっくり眠れないだろうから、今のうちに少しでも身体の回復できるようゆっくり寝てね」と温かい言葉をかけてくれた。

そして産前産後は実家でサポートしてもらっていたため、私の退院日には母が仕事を休んでわざわざ病院まで迎えに来てくれた。

泣いてる顔を見せたくなくて明るく振る舞う私に、母はきっと私の気持ちにも気付いていたのだろう。
深く聞いてこなかったが、「退院したらお店でゆっくり食べれなくなるから、今日はおいしいランチ食べて帰ろうか」と誘ってくれた。
息子への気持ちが消える訳ではないが、母娘でゆっくり美味しいご飯をいただきながら二人時間を楽しく過ごせることができた。

体調が良い日には父と母と3人で息子に必要な赤ちゃん用品を買いに出かけたり、私の用品や欲しいものまで沢山買ってもらいありがたい限りだった。

また、息子が退院するまでほぼ毎日1時間ほどではあったがNICUに行って息子に会う許可ももらえていた。
あまりに動くと術後の傷は痛むし身体も万全ではなかったが、息子に少しでも会えることが嬉しくて嬉しくて毎日通い詰めた。

それでも夜間や早朝など私が側にいれない時間はあったが、NICUのスタッフさんが丁寧に息子の成長記録をつけてくれたり、沐浴や日々の写真を撮ってくれたりと息子の様子が分かるよう常に万全なサポートと優しさで私に安心を与えてくれたことにとても感謝でいっぱいだった。

身体が小さい故に心配は尽きなかったが、息子はゆっくりと、着実に成長し約1ヶ月後には退院することができた。

待ちに待った退院の日。
父も母も時間を作ってくれ一緒にお迎えに来てくれた。
小さな息子をそっと抱きしめ、これから一緒に生活できることが嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

退院して2日後には早速1ヶ月検診があった。
体重は2300g弱。
もちろん同じ月に生まれたどの子よりも小さく、あまりの小ささに驚くような顔で息子を見る親御さんもいたが私自身は成長の違いに悩み落ち込んだことは一度もなかった。

出産前に張り切って初めての育児の参考にと購入した本も数冊あったが早々と読むのはやめた。

正しくは参考にするのをやめた
〇ヶ月で首が座る、寝返り、おすわり、はいはい、つかまり立ち、歩く… あくまでも月齢ごとの成長の目安と理解できているが、ロボットを育てているのではない。

私にとって最も重要なことは、いま目の前で育てている息子の成長を実感し喜べることだった。

“ゆっくりのんびり大きくなったらいいんだよ“

乳幼児の頃から現在も私の子育てのベースとなっている考えである。

息子はいわゆる月齢ごとの成長の目安より1ヶ月から数か月遅れてゆっくり成長していたが、他の子の成長と比べて焦ったりすることもなくTosuとのんびりと彼なりの成長を見守ることができたことは今思い出しても幸せだなと思えるのだ。



この[泣いて笑って]シリーズは幼少期から現在の息子の成長を振り返って大事に大事に綴っていこうと思います。

他の子と比べない子育てをしてきていますが、息子の成長過程で息子自身のの発達やこだわり、特性で思い悩み、葛藤し泣いたことは数えきれないほどたくさんあります。

当時を振り返り文字に書き起こすことは決して楽しいばかりではないけれど、多くの方に支えられ息子だけではなく私たち自身も親として成長させてもらった大事な日々であることは間違いありません。

ゆっくりな更新とはなりますが、ぜひお付き合いいただけたら嬉しいです。

2024.3.8

コメント

タイトルとURLをコピーしました